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ささくれ(さかむけ) 原因・症状・治療法

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ささくれ(ささむけ)のイメージ画像

ささくれ(さかむけ)とは

ささくれ(さかむけ)とは、乾燥などが原因で、指や爪の周りを覆う皮膚などが限局的にめくれ上がっている状態です。ささくれは通常、見た目に不快感を与えるだけで、痛みなどの症状はありません。そのため、皮膚のトラブルとして軽視されることもありますが、副次的な要因により、ささくれ自体が赤みや痛み、化膿といった症状を伴うようになることもあります。 特に「指のささくれ」と「爪のささくれ」がよくみられます。

指のささくれ

指先や爪の周囲の皮膚がめくれ上がった状態です。薄く皮膚がめくれ上がることもあれば、分厚くめくれ上がることもあります。例えば、日常的に手作業が多い方などの場合、乾燥により硬くなった皮膚が、細かくはがれ始めることでみられる傾向です。

爪のささくれ

爪の根元や側面でよくみられます。こちらも乾燥が主な原因で、爪の甘皮や縁(側爪甲縁)の割れによって発生します。

なお、指や爪だけでなく足裏、特にかかとでは、指よりも皮膚が分厚く毛羽だったような状態になることもあります。

ささくれの原因

ささくれが発生する主な原因は、以下の5つです。

乾燥

ささくれが発生する一番の原因は乾燥です。特に、冬の季節は気温低下や湿度低下により、皮膚中の水分が失われ、皮膚がめくれ上がりささくれが発生します。

手荒れ

「頻繁に手洗いを行っている」「アルコール消毒をこまめに行う」といった習慣により、皮脂や皮膚の水分が失われます。その結果、手荒れが生じ、ささくれを引き起こしやすくなります。

物理的刺激

家事や手作業の多い仕事など、手に繰り返し物理的な刺激が加わることで、皮膚が硬くなりめくれやすくなる場合があります。硬くなった皮膚の範囲により、めくれ上がる皮膚の分厚さや深さに影響を及ぼします。

洗剤との接触

洗剤や薬剤など、化学物質に触れる機会が多いと手指の皮脂が失われ乾燥しやすくなったり、皮膚に直接的なダメージを与えるため、ささくれの原因となります。

栄養不足

栄養のなかでも、ビタミンやミネラル(ビタミンA・ビタミンB・ビタミンC・ビタミンE・亜鉛など)といった栄養素が不足していると、ささくれが発生しやすくなります。

ささくれの症状

ささくれ自体には通常、痛みなどの症状はありません。そのため皮膚のトラブルとして軽視されることがありますが、その症状は発生する場所や個人の皮膚の状態、めくれ上がった皮膚の範囲・分厚さ・深さなどによって異なります。ささくれが進行し、引き起こされる代表的な症状を以下に示します。

痛み

めくれ上がった皮膚に触れたり、繊維などが引っかかるたびに、鋭い痛みを感じることがあります。またこれらの刺激がくり返されることにより患部が傷となり、症状悪化にもつながります。
痛みが強い場合は、すでに細菌感染を引き起こしている可能性もあるため、注意が必要です。

赤み

特にささくれの根元周辺は物に触れたり、ひっかかったりといった物理的な刺激にさらされるため、ささくれの根元周囲が赤くなる場合があります。広範囲の赤みの場合は、炎症の強さだけでなく皮膚深部の化膿による場合もあるので注意が必要です。

ささくれの化膿に注意(ひょう疽、ひょうそ)

ささくれが発生した患部が化膿(細菌感染)することがあります。その代表的な細菌感染が「ひょう疽(細菌性爪囲炎)」です。ひょう疽は、ささくれへの物理刺激や気になるからと、ささくれを無理に引っ張って取り除こうとした結果、めくれ上がった根元部分などに小さな傷ができ、そこに細菌が侵入・増殖することで発症します。

また、それ以外にも手を清潔に保っていない場合、日常生活で触れる物から細菌が手に付着し、それがささくれ部分から侵入することで発症する場合もあります。なお、ひょう疽を発症すると以下のような症状が現れます。

  • 激しい痛み:感染した部位の損傷や膿が溜まることにより激しい痛みがある。
  • 赤みと腫れ:感染した部位の炎症により皮膚が赤く腫れあがり、熱を持つ場合もある。
  • 膿:症状が進行すると、皮膚の深部まで膿が溜まることがあり、見た目だけではわからないこともある。

ひょう疽を放置すると、最悪の場合、患部の壊死につながる場合もあるため、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。

ささくれの対処法・治療法、予防法

ささくれの対処法・治療法

ささくれが発生した場合は、必要に応じた適切な対処が重要です。ここでは、ささくれに対する基本的な対処法を、以下に4つ示します。

ささくれのカット

無理に引っ張って取ろうとしたり、歯でかみ切ったりしようとせず、小さなハサミや爪切りを使用して、ささくれを慎重にカットします。この際、ハサミや爪切りは事前に消毒しておくことが重要です。また、カットする際は、ささくれを根元から無理に引き抜くのではなく、皮膚から自然にめくれている部分のみを切り取り、傷にならないようにしましょう。

保湿

皮膚の乾燥は、症状を進行させるため、常に保湿を心がけることが大切です。また、ささくれをカットした後は、皮膚が乾燥し再発するのを防ぐために、保湿クリームやハンドクリームを塗ることが重要です。

外用薬など

ささくれ周囲の赤みや軽度の痛みが現れる場合は、抗菌作用を持つ市販の外用薬を使用します。それ以外には症状に合わせて、組織修復成分配合の治療薬も効果的です。また患部の保護として、液体絆創膏やハイドロコロイド素材の絆創膏も効果的です。ただし、これらを使用する場合は説明書をよく読み、正しく使用しましょう。

感染の危険性がある場合

ささくれの周囲が著しく赤くなり、腫れや激しい痛み、化膿や熱感などが伴う場合は、ひょう疽などの細菌感染症を引き起こしているかもしれません。このような症状がみられる場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。

ささくれの予防

主なささくれ予防法を以下に示します。

定期的な保湿

ささくれが最も発生しやすい原因は、皮膚の乾燥です。そのため、日常的に保湿クリームやハンドクリームを使用して常に保湿することで、ささくれの予防につながります。特に、水仕事をした後や帰宅後など、手を洗った後は保湿を心がけましょう。

家事や作業時に手袋の着用

水仕事や庭仕事、さらには冷たい空気に触れることが多い場合は、直接的な刺激や乾燥から手を守るために手袋を着用して皮膚を保護しましょう。

バランスの取れた食事

ビタミンやミネラル(ビタミンA・ビタミンB・ビタミンC・ビタミンE・亜鉛など)といった、皮膚に必要な栄養素を含む食事を心がけることが重要です。

まとめ

ささくれ(さかむけ)は、乾燥などが原因で、指や爪の周りを覆う皮膚などが限局的にめくれ上がっている状態です。皮膚のトラブルとして軽視されることもありますが、副次的な要因により、細菌感染を発症する危険性もあるため、注意が必要です。しかし、多くの場合は適切な処置を行うことで悪化を防げます。日常のケアと予防策を実践し、ささくれが悪化する前に適切な対処を行いましょう。

監修

花房 崇明(はなふさ たかあき)

医療法人佑諒会 千里中央・江坂駅前・みのお花ふさ皮ふ科 理事長
医学博士、皮膚科専門医、アレルギー専門医、抗加齢医学会専門医。2004年に大阪大学医学部を卒業後、カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学、東京医科歯科大学皮膚科講師などを経て、2017年に千里中央花ふさ皮ふ科を開院。2021年には、江坂駅前花ふさ皮ふ科、2024年には、みのお花ふさ皮ふ科を開院。メディア出演やSNSでの情報発信も多数行っている。

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