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水虫(白癬) 原因・症状・治療法

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水虫(白癬)のイメージ画像

水虫(足白癬)とは

白癬とは、「白癬菌」という真菌の一種が角質に感染することで起こる皮膚疾患です。なお、感染する部位により様々な俗称で呼ばれます。足白癬(あしはくせん)は「水虫」、頭部白癬(とうぶはくせん)は「しらくも」、体部白癬(たいぶはくせん)は「ぜにたむし」、股部白癬(こぶはくせん)は「いんきんたむし」などがあります。
水虫は、足の指の間(趾間)や足の裏、かかとなどの無毛部に白癬が発症したもので、爪に発症したものは「爪水虫」と呼ばれます。

水虫は、白癬の半分以上を占める最も多い疾患で、症状により「趾間型(しかんがた)」「小水疱型」「角質増殖型」の3つの病型に分類されます。爪水虫は、水虫に続発することが多いといわれています。

趾間型や小水疱型は、炎症症状を伴い、かゆみが強く現れます。一方、角質増殖型の場合は、自覚症状はほとんどなく、足底が厚く肥厚し亀裂を伴うため、乾燥によるかかとのひび割れと間違いやすいという特徴があります。

  • 足白癬(趾間型)
  • 足白癬(角質増殖型)
  • 爪白癬
  • 写真提供:兵庫医科大学皮膚科 夏秋 優 先生

足以外に白癬が生じやすい部位

白癬菌は次のように足以外の部位にも感染します。

  • 頭部:しらくも(頭部白癬)
  • 体部:ぜにたむし(体部白癬)
  • 内股:いんきんたむし(股部白癬)
  • 手:手水虫(手白癬)
  • 爪:爪水虫(爪白癬)

"しらくも"は、白癬菌が髪の毛に感染することで起こる皮膚疾患です。髪の毛が楕円形に抜け、細かいフケが見られます。頭皮表面上で毛髪が断裂した場合は、毛孔が黒く見えることがあります。"いんきんたむし"は主に内股に、"ぜにたむし"はそれ以外の体部に強いかゆみを伴い、円形や楕円形の発疹が輪を描くように広がることが特徴です。
手水虫は、水虫でいうところの小水疱型と角質増殖型が多く、大多数は水虫から感染し、爪にも及ぶこともあります。

爪水虫は、主に足の爪に見られ、爪の混濁、肥厚、変形が起こり、表面は凸凹した状態になります。やがて爪全体が脆くなり、爪切りで粉末状に崩れ出すことが多いです。

水虫の原因(水虫の感染)

水虫は、人から人への感染がほとんどです。足ふきマットやスリッパ、畳、布団などを介して、他人の足に潜んだ白癬菌が皮膚に付着して感染することが多いです。
白癬菌が付着したとしても必ず感染するわけではありません。白癬菌が足に付着し、靴の中などで蒸れた状態が長く続いたり、角層に傷があったりすると白癬菌が侵入しやすくなり、感染の可能性が高まります。
また、男性だけでなく、女性でもブーツを履くことで蒸れた状態が続くことなどで発症するといわれています。
白癬菌は、高温多湿な環境を好んで増殖するため、夏に症状が悪化する傾向があります。特に小水疱型や趾間型などの炎症を伴いかゆみのあるタイプの水虫は、夏に症状が悪化しやすく、自覚しやすい傾向があります。一方、角質増殖型は、主な症状がひび割れで、かゆみがないため水虫とは気づかないことが多いです。夏にもひび割れの症状が続いている場合は水虫の可能性があるので、注意が必要です。

また、自分の水虫から爪や手に感染し(自家感染)、爪水虫や手水虫を発症してしまうこともあります。

水虫の症状

水虫(足白癬)は、「趾間型」「小水疱型」「角質増殖型」の3種類に分類されます。

趾間型(しかんがた) 趾間に限局して紅斑、小さな水ぶくれ(水疱)が生じ、鱗屑を形成します。趾間や趾側面に落屑があり、亀裂を伴うこともある乾燥型と、趾間の付け根が汗などで白くふやけ、びらんを伴うこともある湿潤型があります。
小水疱型 足の裏の縁や土踏まずなどに軽度の赤みのある小さな水ぶくれ(小水疱)が集積あるいは散在し、水疱が乾いて鱗屑やかさぶたがみられることがあります。水疱ができるときには激しいかゆみを伴います。水疱が破れると、皮がボロボロとむけてきます。
角質増殖型 かかとを中心に足裏全体の角質が厚くなり、落屑を伴います。かゆみの自覚症状はない場合が多く、かかとにひび割れを起こした場合は、痛みを伴うことがあります。

爪水虫

爪水虫は、水虫に続発することが多く、爪の混濁(白色、灰色、黄色など)、肥厚、変形が起こり、表面は凸凹した状態になります。やがて爪全体が脆くなり、爪切りで粉末状に崩れ出すことが多いです。かゆみを伴わないことが多いため気づかず、爪の白癬菌が他の部位にうつる自家感染や家庭内感染が多いです。自己治療が難しいため、疑われる場合は、早めの医療機関への受診が望ましいです。

水虫の対処法・治療法、予防法

水虫の対処法・治療法

水虫は、基本的には水虫であることを確認したうえで、抗真菌成分が配合された外用薬で治療します。市販の外用薬もありますが、水虫かそれ以外の湿疹かはっきりしない場合は、市販薬を使う前に皮膚科を受診してください。
なお、市販薬には、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、パウダースプレーなど様々な剤形があります。また、かゆみ止め成分など、補助的な成分が配合されたものもあります。水虫の症状に合わせて適切な薬剤の種類や剤形を選びましょう。外用薬を使用して、かゆみや炎症などの自覚症状や見た目が改善し、一見治ったように感じても1~2週間程度では白癬菌は死滅しません。そこで、治療を中止してしまうと、やがて白癬菌は増殖して再発してしまいますので、症状が無くなっても最低1カ月は外用薬を継続使用してください。ただし、2週間程度使用しても症状が良くならない場合は、皮膚科を受診するようにしてください。その際は、市販薬を使用したことを医師に必ず伝えましょう。

剤形による使い分け

軟膏剤 刺激が少なく保護作用があるため、びらんやふやけ、亀裂がある患部への使用にも適しており、特に症状を選ばない剤形です。
クリーム剤 のびが良く油分と水分が乳化されており、保護作用と薬剤の浸透性のバランスに優れています。
小水疱型には、塗りやすさからクリーム剤がよく適用され、小水疱が破れてただれた部分にも使えます。なお、厚くなった角質にも使用可能です。
液剤、ローション剤 薬剤の浸透性とさっぱりとした使用感の良さを優先した剤形です。アルコールが含有されているものは、水疱がつぶれたり、亀裂が入ったりしている状態の患部への塗布は不向きです。
スプレー剤 広い患部に手を汚さずに塗布できることが特徴です。カサカサしているところや水疱がつぶれていないところへの使用が向いています。
パウダースプレー剤 広い患部に手を汚さずに塗布できることが特徴です。ただれた患部をサラサラにすることができます。

なお、抗真菌薬を使用する場合は、患部だけでなくその周囲にも白癬菌が潜んでいる場合があるので、症状が出ている患部だけでなく、その周囲を含めた広い範囲に塗るようにしてください。

水虫の予防法

水虫を予防するために意識することは、以下の通りです。

足を清潔に保つ
白癬菌が足についたからといって、すぐに感染するわけではありません。角層への白癬菌の侵入を防ぐためには、できるだけ早くしっかりと足を洗うことが効果的です。
  • ただし、角層に傷があると白癬菌が侵入しやすくなります。角層を傷つける要因としては、軽石ややすりなどで擦ったり、角質をむりやり剥がしたり掻きむしったりすることなどです。小さな傷であっても角層へ白癬菌が侵入しやすくなるので、注意しましょう。
高温多湿を避ける
白癬菌は高温多湿を好みます。菌の増殖を防ぐためには通気性の良い靴下や靴を使用しましょう。また、足が蒸れていると角層がふやけて白癬菌が侵入しやすくなるため、高温多湿の状態が続かないようにしましょう。
家庭内感染に注意する
予防のためには、住居環境を整えることも大切です。
  • フローリングの床や畳などにも白癬菌が落ちている可能性があるので、こまめに掃除をすることで予防できます。また、足ふきマットやタオルをできるだけ共用しないことやスリッパを専用にすることも効果的です。
  • 一方、水虫患者が使用した靴下、タオルについた白癬菌は、洗濯によりほとんど消失しますので、他のものとまとめて洗濯することで問題ないといわれています。

水虫と似た症状(異汗性湿疹など)

水虫と間違えられやすい皮膚疾患を以下に示します。

異汗性湿疹(汗疱)
足の裏や手の指・手のひらなどに小さな水疱ができ、かゆみを伴う疾患です。症状が出る箇所が同じであることやかゆみがあることから水虫と混同されやすい疾患です。

詳しい内容は手湿疹 原因・症状・治療法をご覧ください。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
足の裏や手のひらに、透明な水疱や膿を含んだブツブツができる疾患です。水疱ができることやかゆみを伴うこともあるため、水虫と間違えやすいです。

まとめ

水虫は、白癬菌が足に感染することで生じる皮膚疾患で、症状により「趾間型(しかんがた)」「小水疱型」「角質増殖型」の3種類に分類されます。

足以外にも、白癬菌は、頭部や体部、内股や手にも感染しますので、それぞれの部位に特徴的な症状が現れた場合は、まずは、感染を広げないためにも抗真菌成分が配合された外用薬で早めに治療をしましょう。
水虫は、症状が治まっても白癬菌が患部に残っており、再発や他の部位への続発につながる可能性が高い疾患ですので、抗真菌成分が配合された外用薬を根気よく継続使用する必要があります。なお、抗真菌成分が配合された外用薬を使用しても症状がよくならない場合や爪水虫が疑われる場合などは自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

また、水虫に似た症状のある異汗性湿疹や掌蹠膿疱症など、判断がつかない場合は自己判断せずに皮膚科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

監修

小西 真絢(こにし まあや)

巣鴨千石皮ふ科 院長 
東京都出身。杏林大学医学部卒業後、東京医科歯科大学皮膚科へ入局。2017年巣鴨千石皮ふ科開院。2020年初診からのオンライン診療開始、2021年日本皮膚科学会の乾癬分子標的薬使用施設として承認。アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、多汗症の治療に注力。

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