赤ちゃん・子どもの肌トラブル情報館

おむつかぶれ 原因・症状・治療法

この記事をシェアする
  • Facebook
  • line
  • X
おむつかぶれのイメージ画像

赤ちゃん・子どもの皮膚の特徴

赤ちゃんや子どもの皮膚の特徴を以下に示します。

  • 皮膚が未熟で角層が薄い。
  • 皮膚バリア機能が弱く、外からの刺激を受けやすい。
  • 生後2~3ヵ月過ぎたころから皮脂の分泌量が低下する。
  • 汗をかきやすい。

赤ちゃんや子どもの皮膚は、大人とほぼ同じ構造ですが、大人に比べて角層が薄く、皮膚バリア機能が未熟です。赤ちゃんは、胎児期に胎盤を通じて母親から受け取った性ホルモンの影響で一時的に皮脂分泌量が多く、乳児脂漏性(しろうせい)皮膚炎や湿疹など、赤ちゃん特有の肌トラブルが起こりやすい特徴があります。しかし、生後2~3ヵ月過ぎた頃には母親から受け取った性ホルモンの影響がなくなり、急激に皮脂の分泌量が減少し、乾燥しやすくなります。

また、汗腺の数は大人とほぼ同じです。そのため単位面積あたりの汗腺の数が多く、汗をかきやすいという点も、赤ちゃんや子どもの皮膚の特徴です。
赤ちゃんや子どもの皮膚は、角層が薄く皮脂が少ないことで皮膚バリア機能が弱いうえに、汗による蒸れなどによりさらに皮膚バリア機能が低下しやすく、外部刺激を受けやすい状態です。

このように、とてもデリケートな赤ちゃんや子どもの皮膚では、刺激物との短時間の接触でもかぶれ(接触皮膚炎)を起こしやすく、おむつかぶれが、その代表的な疾患です。

おむつかぶれとは

おむつかぶれとは、「おむつ皮膚炎」とも呼ばれ、刺激性接触皮膚炎の一つです。おむつに覆われた部分に赤い湿疹などが現れます。酷くなると、強いかゆみを伴い、ただれることもあります。多くの子どもにみられる疾患で、0~1歳の赤ちゃんに好発します。

写真提供:兵庫医科大学皮膚科 夏秋 優 先生

おむつかぶれの原因

おむつかぶれの主な原因を以下に示します。

汗などの蒸れによる皮膚バリア機能の低下
おむつの中は、汗や尿などによって蒸れやすい状態です。蒸れによって皮膚がふやけ、皮膚バリア機能が低下し、尿や便の刺激や、おむつとの擦れ刺激を受けやすくなっています。
尿や便の刺激
排泄物には老廃物(尿にはアンモニアなど、便には消化酵素、腸内細菌など)が含まれており、刺激の原因になります。尿や便がおむつの中で皮膚に長時間触れていると老廃物の刺激による接触皮膚炎が起こりやすくなります。特に、下痢便ではアルカリ性の消化酵素が多く含まれているので、皮膚への刺激が強くなります。
おむつによる擦れ
動くことで皮膚とおむつが擦れたり、おむつのギャザー部分が締め付けられて擦れたりすることで、物理的な刺激を受け、かぶれることがあります。
おしり拭きによる刺激
おしり拭きに含まれる防腐剤や洗浄料などが原因で、かぶれを起こす場合があります。また、おしりを清潔に保つことは大切ですが、清潔にしようとして、おしり拭きでゴシゴシと強く拭き取ると擦れ刺激になることもあります。

おむつかぶれの症状

初期症状としては、太ももの付け根や下腹部などおむつのギャザーがあたる部分(締め付け部分)や、肛門の周囲が赤くなったり、赤いブツブツができたりします。見た目の症状が酷くない場合でも、赤ちゃんはかゆみやヒリヒリを感じているので、お尻を気にしたり、おむつ交換でお尻を拭く時やお風呂に入る時に泣いたりすることもあります。
症状が進むと、赤みや湿疹がおむつで覆われているお尻全体に広がります。このような皮膚状態になると赤ちゃんは、さらに刺激に敏感になり、排尿や入浴のたびに泣くようになります。
さらに悪化すると、皮膚がただれたり、水ぶくれ(水疱)ができたりすることもあります。

皮膚カンジダ症とおむつかぶれの違い

おむつかぶれと似た症状の皮膚炎に、「皮膚カンジダ症(乳児寄生菌紅斑)」があります。これは皮膚に常在するカンジダという真菌が増殖して発症する感染症で、おむつかぶれとは別の疾患です。
おむつかぶれのような症状であっても、以下のような場合は皮膚カンジダ症が疑われるので、早めに皮膚科を受診しましょう。

  • 清潔を心がけてもよくならない。
  • おむつに触れていない部分にも炎症が起きている。
  • 赤い部分の境界が細かい斑点状になっている。
  • うすく皮膚がめくれている。

おむつかぶれの対処法・治療法、予防法

おむつかぶれの対処法・治療法

皮膚が尿や便に触れている時間が短くなるように、おむつをこまめに替えましょう。特に便が緩い時は、便が出たら直ぐにおむつを交換してください。患部を水やぬるま湯で洗って清潔な状態にします。ただし、ゴシゴシと強く拭きすぎると皮膚を刺激してしまうので注意が必要です。
抗ヒスタミン成分、抗炎症成分(ステロイド成分を除く)、酸化亜鉛などが配合された外用薬の使用が一般的です。
また、患部を保護するためにワセリンを使用することも効果的です。

ステロイド薬は、炎症を抑えるには有効ですが、おむつかぶれに似た症状の皮膚カンジダ症の場合は症状を悪化させることがあります。そのため、ステロイド薬の使用は自己判断をせずに、皮膚科を受診して医師の指示に従いましょう。

おむつかぶれの予防法

おむつかぶれの予防には、皮膚を清潔にして刺激物との接触を避け、もともと低下しがちな皮膚バリア機能をさらに低下させないことが大切です。普段からできる予防法を以下に示します。

  • 排泄後はなるべく早くおむつを交換する。
  • 通気性のよい、サイズの合ったおむつを選ぶ。
  • お尻を拭く時や洗う時は皮膚をゴシゴシ擦らないようにする。
  • 保湿して皮膚バリア機能を保つ。

おむつの選択も重要なポイントです。通気性が良い素材で、体形にあったサイズのものを選びましょう。サイズ表記が同じであっても、メーカーによって実際のサイズが異なる場合があるので、体形に合ったものを探します。おむつ交換の時に、ウエストや太ももに跡がついていれば、サイズが合っていないので、サイズアップしましょう。
お尻を拭いたり洗ったりした後は、皮膚バリア機能を保つために、できるだけ早く保湿剤を塗ってあげましょう。
また、おしり拭きに含まれている成分に注意し、刺激のあるものは避けるように気をつけて選ぶことも大切です。

まとめ

おむつかぶれとは、「おむつ皮膚炎」とも呼ばれ、刺激性接触皮膚炎の一つです。おむつに覆われた部分に赤い湿疹などが現れます。多くの赤ちゃんが経験する肌トラブルです。予防のためにも、皮膚が尿や便と触れている時間ができるだけ短くなるように、こまめなおむつ交換が大切です。
症状が出た場合は、日常ケアを丁寧に行うと共に、抗ヒスタミン成分、抗炎症成分(ステロイド成分を除く)、酸化亜鉛の配合された外用薬で対処しましょう。
ただし、症状が酷い場合や、繰り返す場合は、早めに皮膚科や小児科を受診し対応することが大切です。

監修

小西 真絢(こにし まあや)

巣鴨千石皮ふ科 院長 
東京都出身。杏林大学医学部卒業後、東京医科歯科大学皮膚科へ入局。2017年巣鴨千石皮ふ科開院。2020年初診からのオンライン診療開始、2021年日本皮膚科学会の乾癬分子標的薬使用施設として承認。アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、多汗症の治療に注力。

この記事をシェアする
  • Facebook
  • line
  • X
ページトップに戻る