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陰部のかゆみ(女性) 原因・症状・治療法

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陰部のかゆみ(女性)のイメージ画像

陰部のかゆみ(女性)とは

女性の陰部のかゆみは、皮膚が薄くて外部刺激を受けやすいことで引き起こされる症状で、陰部のかゆみに悩まされている女性は少なくありません。また、女性の陰部は皮脂腺や汗腺に富み、生理時の経血や膣からの分泌物などにより常に蒸れやすい状態になっています。加えて、下着や衣類、生理用品などと擦れる刺激を繰り返し受けやすいため、かぶれが発生しやすいです。また、閉経によって陰部が乾燥し、かゆみや違和感がある場合があります。
これらの症状は周囲に相談しにくい、医療機関を受診するのも恥ずかしい、という方も多いかもしれません。
しかし、陰部にかゆみを感じる時は、感染症にかかっている場合もあるため、症状が気になる場合は早めに医師に相談することが大切です。

陰部のかゆみ(女性)の原因

女性の陰部がかゆくなる主な原因を以下に示します。

かぶれ

女性の陰部は、蒸れやすい部位で、皮膚表面がふやけたようになりバリア機能が低下します。さらに擦れる刺激が加わると皮膚がダメージを受けて傷つき、かぶれやすくなります。

蒸れやすい環境
  • 生理による経血
  • おりものや汗などの分泌物、尿や便が付着したパッドなどに長時間触れる状態
  • 衣類(ガードル、ストッキング、ジーンズなど)、下着、おむつの締め付け
かぶれの刺激となる要因
  • 生理用品(ナプキン、タンポン、おりものシートなど)、生理による経血
  • 分泌物(おりもの、汗など)や尿、便
  • 下着、衣類、おむつ

特に生理時は、経血の影響で蒸れやすく生理用品などで刺激を受けたり、ホルモンバランスの変動で肌が敏感になったりするため、かぶれやすくなります。また、生理中などは蒸れることで雑菌が繁殖しやすくなり、かゆみや赤みを伴った炎症が起こりやすいです。

閉経

閉経により、皮膚や粘膜を健康に保つ役割である女性ホルモンのエストロゲンが減少し、外陰部周囲の皮膚や膣粘膜が萎縮してきます。また、分泌される粘液が減ることで陰部の潤いがなくなり、乾燥やかゆみが現れます。さらに更年期以降は、エストロゲンの減少により膣の酸性環境を維持することが難しくなり、膣内の菌増殖を防ぐ作用が弱まることで、膣炎を起こしやすくなります。

かゆみを伴う感染症

陰部は蒸れて雑菌が繁殖しやすいだけではなく、ストレスや免疫低下により皮膚表面に常在している菌が異常に増殖し、炎症やかゆみを引き起こすことも少なくありません。また、性的接触によってうつる可能性がある性感染症があり、性器だけでなく、口などの粘膜や皮膚からも感染し、かゆみが起こることがあります。

陰部のかゆみ(女性)の症状

かぶれによる陰部のかゆみ症状

陰部がかぶれると、かゆみが生じます。陰部の皮膚がダメージを受けて傷つき、蒸れや擦れが重なることでかゆみや赤みを伴う炎症が起こりやすくなります。ダメージが強ければヒリヒリ感もあります。

閉経による陰部のかゆみ症状

外陰部周囲の皮膚や膣粘膜が萎縮することで、傷つきやすくなり炎症が起こりやすくなります。また、膣に乾燥やかゆみが生じ、出血を伴ったり性交痛が起きたりします(萎縮性膣炎)。萎縮性膣炎を放置することで症状を悪化させ、菌感染を起こし細菌性膣炎を発症する可能性があります。

感染症によるかゆみを伴う症状

膣カンジダ症
カンジダという真菌による感染症です。外陰部や腟のかゆみ、おりものの増加、性交痛などが主な症状として知られています。カッテージチーズ状のおりものや、酒粕状やヨーグルト状の白い分泌液などがみられることも特徴です。カンジダ菌は皮膚や口腔、消化管、膣などにいる常在菌ですが、局所の免疫力の低下などが原因で菌が増殖して発症します。疲れやストレス、抗菌薬の内服治療などによって生じやすくなります。
腟トリコモナス症
トリコモナスという原虫による感染症です。感染した方のうち20~50%は無症状といわれていますが、症状が出る場合は、激しいかゆみやにおいの強いおりもの(色が黄色っぽい、泡状)がみられます。
性器クラミジア感染症
クラミジア・トラコマチスという細菌が原因でおこり、自覚症状が乏しく、知らないうちにパートナーや出産児へうつしてしまうことがあります。日本で最も多くみられる性感染症で、若い女性に多い感染症です。
性器ヘルペス感染症
ヘルペスウイルスの感染によって起こる疾患です。初感染の場合は発熱、強い痛みと共に、小水疱やびらん、潰瘍ができます。初感染後はウイルスが神経節に潜伏し、疲労など免疫力の低下によって再発する場合があります。

陰部のかゆみ(女性)の対処法・治療法、予防法

陰部のかゆみ(女性)の対処法・治療法

生理用品などによるかぶれや蒸れで起こる症状には、かゆみを抑えるジフェンヒドラミンや、炎症を抑えるグリチルレチン酸などが配合された市販の外用薬を使うとよいでしょう。ただし、市販薬を5~6日ほど使用して改善がみられない場合は、医療機関を受診するようにしてください。必ずしも患部を洗ってから外用する必要はありませんが、入浴の際に、強く擦らないように注意して、患部を清潔に保つとよいでしょう。

萎縮性膣炎によるかゆみは、女性ホルモンの分泌低下で起こるため、エストロゲンの補充が主な治療方法です。細菌性膣炎といった炎症や細菌感染を伴う場合には、抗生物質などが処方されます。

陰部のかゆみ症状で、いつもと違うと感じる場合は医療機関を受診しましょう。特に感染症の場合は、かゆみの原因が特定されなければ適切な対処はできません。治療が遅れると、感染症によっては不妊の原因となることもあるため、ためらわずに医療機関を受診してください。
膣カンジダ症は、医療機関(婦人科)を受診し、診断を確定して治療を受けてください。ただし、再発の場合は市販薬もありますので、忙しくて受診できないなどの場合に上手に活用しましょう。
膣トリコモナス症、性器クラミジア感染症や性器ヘルペス感染症などの場合は、市販薬では治療が難しいため、早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けましょう。

陰部のかゆみ(女性)の予防法

陰部のかゆみを予防するために、通気性の良い下着を身に着けたり下着の素材を見直したりすることがおすすめです。また、汗をかいた場合はこまめに拭き、ナプキン等はこまめに取り換えるとよいでしょう。そのままにしておくと、蒸れたり雑菌が繁殖したりしてかゆみの原因となります。

また、普段から陰部を清潔に保つことは大切ですが、強く擦らずに優しく洗いましょう。洗浄便座の洗浄水の勢いを抑える・優しく拭いたりするなど、皮膚への刺激を避ける工夫もあります。外陰部や膣の萎縮などによる乾燥やかゆみを感じる場合は、潤いを与えるため保湿をしましょう。ワセリンや保湿クリームを使ったり、性交時に潤滑ゼリーを活用したりするのも対処法の一つです。

加えて、感染症にかからないよう、意識することも予防に役立ちます。性感染症の予防には、コンドームの使用が効果的です。また、感染していると考えられるパートナーとの性交渉は避けてください。免疫力の低下によって発症する感染症もあるため、質の良い睡眠をとる、バランスの良い食事を摂る、適度な運動をするなどして、健康的な生活を心がけましょう。

まとめ

女性の陰部のかゆみは、皮膚が薄くて外部刺激を受けやすいことで引き起こされる症状で、かぶれや閉経後の皮膚萎縮、感染症が主な原因です。かゆみの原因を速やかに特定し、適切な治療を受けることで症状の改善が期待できます。また、陰部のかゆみを予防するためには、通気性の良い下着を身に着け、清潔に保つことが大切です。肌への刺激を避け、感染症にかからないよう普段から意識しましょう。

監修

檜垣 祐子(ひがき ゆうこ)

若松町こころとひふのクリニック院長
医学博士、皮膚科専門医。東京女子医科大学附属女性生涯健康センター教授・副所長を経て現職。専門はアトピー性皮膚炎、皮膚心身医学。著書に『皮膚科専門医が教えるやってはいけないスキンケア』(草思社)など。

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