研究・開発ストーリーアセムヒEX

Chapter01池田模範堂に、これまでなかった湿疹薬

きっかけは「汗」

私たちは常々、お客様の皮ふトラブルのお悩みに応え、まだこの世にない「一番手商品」を生み出すことを考えています。
市販されている皮ふ用薬は、どういう症状に使われているのか?
今一度尋ねてみると、「汗」というキーワードが多く挙がりました。
さらに汗が原因で肌トラブルが起こる対象の方を深掘っていくと、「この症状は、あせもとは違う」と思っている方が8割もいたのです!

では、その症状を何と表現するのか?
対象の方に聞き込んだり、アイデアを出し合ったりして、ようやくたどり着いたのが「汗かぶれ」でした。

研究所 マーケティンググループ

「あせも」ではなく『汗かぶれ』タンニン酸との出会いが運命を変える

どのようにして「汗かぶれ」を治すのか?汗が出てくることは自分では止められず、汗によるトラブルは防ぎようがない。汗をかいたままにすると皮ふトラブルが悪化するため、どうしたらこの負のループから救えるのか悩みました。それをきっかけに汗をかいても肌トラブルから守ってくれる成分探索が始まり、そんな時に「タンニン酸」に出会います。研究を重ねた結果、タンニン酸の収れん作用により、かいてしまった汗を浸入させない効果を確認できたのです。

ダントツの試作回数!!日本初処方の商品化へ

ところが、汗の浸入を防ぐと同時に薬の浸透性が低下することも分かりました。そのため、タンニン酸の汗を浸入させない効果をもたせながら、薬効成分を皮ふに浸透させる処方検討を何度も何度も試し、実に1,000近い処方数になりました!
炎症やかゆみを抑えるだけではなく、あきらめないチャレンジの末に「汗浸入ブロック」という、新たな治療アプローチを実現できました。

Chapter02スケールアップを支える 部門と部門の架け橋

一人一人が開発テーマに携わり自由にやらせてもらえる

私は、研究所で作られた処方を生産部の大きな釜で作るスケールアップ検討において、研究部門と生産部門の橋渡しをする役割でした。
実は、品質管理グループから研究所に異動するのと同時に、この「アセムヒEX」のテーマについたため、スケールアップだけではなく、処方やマーケティングのことも分からない状態でした。
これまでは、商品に使われる原料を確認する仕事でしたが、商品化してどのように売っていくかという仕事にガラっと変わり、戸惑いはありました。
しかし、元々興味があった分野だったので純粋に嬉しかったですね。
同期や先輩にも恵まれて分からないことはとことん教えてもらい、とにかく自由にやらせてもらえた環境に感謝しています。
ものづくりに携わっているというキラキラした気持ちが強かったです。

研究所 製剤設計グループ

研究部門と生産部門の架け橋 一番の要はコミュニケーション

「アセムヒEX」は新規で扱う成分が多く、原料をどんな順番で投入するか、どのように溶かせばいいのか、検討項目が多くトラブルも山積みでした。
さらに、池田模範堂初の色つきクリーム、かつ洗いにくい製剤だったことから、調製後の洗浄の確認を徹底しました。

よりスピーディーに商品を出したい反面、納得したものをお客様に届けたい使命感から、発売を延期してでも生産検討に時間をかけました。
「なんでこんなに面倒な処方にするんだ!」と思ったこともあります。

しかし「汗かぶれの治療に必要な成分」を配合しているため、お客様のためにも開発コンセプトを崩すわけにはいかない。だから生産現場の方にも、納得して作っていただきたい気持ちから、一つ一つの生産工程が必要な理由を説明しました。

研究部門と生産部門の架け橋、この仕事で何が肝になるか?
それは結局のところ「コミュニケーション」です。
それこそ、「アセムヒEX」をなんとかして世に出したい、その共通の想いがあり議論を重ねました。
こうした人と人のぶつかり合いを経て実現したといっても過言ではありません。

信頼性保証部 品質保証グループ

Chapter03色付きクリームに背板付きパッケージと初めてづくし

クリーム作りは池田模範堂の要

製造グループでは、システムを利用した自動制御(=レシピ)によって調製作業を行います。
生産を行う際の原料の投入順序や温度、圧力、撹拌などの条件は、原料の特徴を理解していないと作れません。
特に「アセムヒEX」は原料の数が多くて大変でした。
研究部門や信頼性保証部門と一緒に検討した様々な条件は、実際の生産状況によっては変更しなければならず、現場の緊張感は想像以上です。
五感を研ぎ澄ませて仕上がったレシピは、汗と努力の賜物です。
こうして皆で作り上げたレシピによって「安全・安心・安定」した製品を生産することができており、それが製造現場の誇りとなっています。
「商品の中身は自分たちが作っているんだ!」という気持ちがモチベーションとなっているので、これからもエキスパートとして対応していきたいです。

生産部 製造グループ

日本初の訴求をパッケージに!
製品ケースに台紙を付ける機械を導入

「汗かぶれ」という新しい訴求を、多くのお客様に知っていただくにはどうすればいいか?
製品パッケージの中で訴求を目立たせたいという要望がありました。
クリームの製品ケースは表示面積が狭いため、ケースに台紙を付けて訴求を目立たせる運びとなりました。
池田模範堂のクリーム包装において、台紙付きケースの採用は初めてのため、包装ラインに新しく台紙貼り機を導入することになりました。
設備を導入するには、まず機械メーカーにこちらの条件を伝えます。
そして機械ができると、機械メーカーに出向いて実際にケースや台紙を流すラインテストを行い、仕様通りに機械が作られているかを確認しています。
池田工場に機械を導入してからも、ラインテストで確認することを繰り返します。

生産部 包装グループ

設備担当だけではなく、包装作業者も設備導入に協力
思い入れを持ちながら包装

設備チームが機械設備を確認するのはもちろんですが、私たち実際の包装担当者も設備導入に参加します。
その理由は、実際に作業する者が安全で使いやすい仕様にするためです。
「この位置にボタンがあった方が使いやすい」「奥より手前に清掃フィルターがある方が作業しやすい」「これは危険だからカバーを付けてほしい」といった作業効率を上げ、かつ安全に使うための改善点を伝えます。
日常作業しているからこそ、気づけることが多くあるのです。
私たち包装グループは、医薬品をお客様の手元にお届けするお手伝いをしています。
商品化する上での要望が既存の設備で叶わない場合は、今回のように新たに機械導入することを検討して形にしていきます。
「ライン止まらないで!」そして「売れますように!」と願いながら包装ラインに立っているので、導入設備の安定・安全稼働と、「アセムヒEX」のヒットが実現でき、とても嬉しいです!!

Chapter04お客様に寄り添う店頭力

企画を聞いてすぐにターゲットを共感

「アセムヒEX」の企画を聞いて、すぐにターゲットへの共感はできました。
自分自身、スーツを着るのでワイシャツが当たる首元が赤くなったり、かゆくなったりすることがあったのですが、「これって汗が原因だったんだ!」と気づきました。
そして、症状のお悩みに応えるだけではなく、「汗という避けられない根本原因も何とかしてあげよう」というお客様への寄り添いも嬉しいポイントですね。

営業部

営業部はプロジェクトから参加し、お客様に届ける

「あせもではなく汗かぶれ」という新しい訴求をお客様に伝え、共感してもらうために、「店頭のつくり方」にこだわりました。
営業部では商品特徴が売場でお客様に伝わるように、ハンガー什器やPOP、ボードといった販促物を開発プロジェクトに参加して決めていきます。
今回は「汗かぶれ」と思っていないお客様に、「その症状は汗かぶれかも!?」という気づきを与え、対処が伝わる販促物を作成しました。

店頭POP(左)・店頭ボード(右)

店頭作りでお客様とコミュニケーションを

今までにない訴求のため、原因・対処の説明を含めた売場作りをお店の方に提案し、交渉を行いました。自分自身も汗かぶれ症状があり、「アセムヒEX」の必要性を汗をかきながら熱を持って提案・交渉しました。

その結果、多くの店舗様で売場を作成いただき、おかげさまで発売初年度より多くのお客様に「アセムヒEX」を手に取っていただきました。
店頭作りによってお客様に寄り添えたのかなと思うと、汗をかいて売場作りをした甲斐がありました!

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