ユーカリ油塗布による皮ふアレルギー抑制効果を確認
研究の背景
ユーカリ油は、古くから殺菌作用や抗炎症作用、鎮痛・鎮静作用があるとされ、医薬品に用いられてきました。また、臨床研究では皮ふのアレルギー症状を緩和することが報告されています。
成分としてはよく知られたユーカリ油ですが、詳細な作用メカニズムは、未だ不明な点があります。そこで、かゆみ止め薬を多く販売する会社として、かゆみ・炎症原因物質を蓄えているマスト細胞に着目し、ユーカリ油のマスト細胞への直接的な作用の可能性について検討しました。
研究の概要
ユーカリ油の効果の確認
各サンプルで処理後、細胞を刺激
ユーカリ油塗布による皮ふアレルギー抑制効果の確認
ユーカリ油がかゆみ・炎症原因物質の放出を抑える仕組みの解明
ユーカリ油がマスト細胞の活性化を抑えることで、かゆみ・炎症の原因となる物質の放出を抑えることを確認しました。
かゆみ・炎症原因物質の放出イメージ
ユーカリ油のはたらき
ユーカリ油がマスト細胞からかゆみ・炎症原因物質の放出を抑える動画
- ※ 富山県薬事総合研究開発センター共焦点レーザー顕微鏡にて撮影
本研究により、ユーカリ油はマスト細胞からのかゆみ・炎症原因物質の放出を抑えることで、アレルギー反応を抑えることを明らかにしました。また、直接的にマスト細胞の活性化を抑えていることも発見しました。このメカニズムの解明は世界初となります。
今後の展望
アレルゲンが皮ふに触れると、かゆみや腫れ、赤みなどのアレルギー症状が起こる体質の人がいます。かゆみが広がり長引く症状で、深刻度の高い皮ふトラブルのため、症状が広がらないような治療薬が求められています。私たちは、ユーカリ油の効果に期待し、有用な治療薬の開発を目指して研究を続けていきます。
key word
- ユーカリ油(成分)
- 皮ふアレルギー症状(広がるかゆみ、ぶつぶつ・ボコボコ)(症状)
- かゆみ・炎症原因物質の放出抑制(目的とする作用)
- ハウスダストなどのアレルゲン(原因)