研究・開発ストーリームヒER

Chapter01待望のこれまでになかったかゆみ止め

きっかけはお客様からの声でした

開発のきっかけは「かゆみ止めで耳に塗れるものはないですか?」というお客様からの多い声でした。
実際に調べてみると、大変多くの方が耳のかゆみで困っていることが分かり、ほとんどの方が耳がかゆくても“薬で対処する習慣がない”ことも分かりました。
当社品は、そもそも耳に使うことを想定していなかったため、お勧めできる商品がなく、もどかしさを感じていました。
「耳にもお勧めできる」という未経験の分野の薬を開発することに対しては、社内から反対の声がありましたが、お勧めする薬がなかったからこそ「今悩んでいる方をなんとか救いたい!!」という強い気持ちがありました。

研究開発部 マーケティンググループ
Q最近1年間で耳がかゆくて困ったことがありますか? ある61% 当社しらべ 20~60代男女 n=2,601

かゆみ止め薬で新領域への挑戦

「耳にもお勧めできる」という未経験の分野のため、まずは調査に調査を重ねました。
実際に困っている社員に詳しい症状を教えてもらったり、文献だけではなくお医者さまからもヒアリングさせていただきました。
その結果、「耳に薬が入った時の感覚」「耳の奥まで入ってしまった場合」「耳に使用できる成分」などが耳に使った場合の懸念点として考えられ、これらを払拭するためにどのようなことを検討し、判断しなければいけないのか、非常に苦しみました。

研究開発部 薬理グループ

Chapter02商品へのこだわりが「くるピタ容器®」を生み出す

効果だけではなく適切に使用していただく工夫を徹底

かゆみ止め薬のトップメーカーとして、お客様のお悩みや使いやすさなどを考え、お客様に寄り添った新容器の開発にたどり着きました。

デリケートな部位にも使用いただける工夫

製剤開発において、まず基剤について検討しました。
耳にも使う場合、クリームや軟膏はベタつくため、液剤にしようと考えました。
最初は「液体ムヒS」にも使用され、外用剤では一般的な基剤であるエタノールが思い浮かびました。
しかし、耳の入口付近だけではなく、耳の奥に入った場合を想定すると、内耳毒性の観点から慎重に選ぶ必要がありました。
またエタノールは、虫さされ等に使用する場合は心地よい清涼感を与えますが、皮ふが極めて薄く敏感な部位に使用すると「しみる」ことがわかりました。
そこでお客様に不安なく、かつ満足いただける商品をお届けするため、「ムヒER」ではエタノールの配合を止め、エタノールに比べてしみないプロピレングリコールを採用しました。
さらに、耳の奥への液だれによる不快感や悪影響を防ぐため、薬液が垂れにくい適度な粘度のある製剤を設計しました。

研究開発部 製剤設計グループ

お困りのかゆみに使いやすいオリジナルの「くるピタ容器®」を開発

これまで当社で採用している「液体ムヒS」などのスポンジヘッドや「ムヒHD」のようなピンポイントで塗布するのに適した容器ではなく、耳にも使いやすい容器を新たに開発することにしました。
また、耳に薬を使ったことがないお客様が多く、「どのくらいの量を使えばよいか分からない」という声がありました。
そのような不安を取り除くため、ポケット部に適量がたまり、その薬液を綿棒にしみ込ませてお使いいただく仕様がふさわしいと考えました。
これを実現するため検討に検討を重ねた結果、容器を“くるっ”とひっくり返すという簡単な操作で、毎回同じ量がポケット部にたまる「くるピタ容器®」が誕生しました!

これら商品へのこだわりの結果、開発から7年をかけてようやく商品化することができました。

期待を裏切らないために新技術を開発
「アクセシブルデザイン包装賞」を受賞

くるっと逆さまにピタッと薬液がたまる「くるピタ容器®」※イメージ
※公益社団法人 日本包装技術協会 2020日本パッケージコンテスト
「アクセシブルデザイン包装賞」受賞
受賞対象:定量容器「くるピタ容器®」

Chapter03乗り越える壁が大きかった生産現場

池田模範堂の顔=高品質の商品を創りあげるという使命感

今回は容器だけではなく、ラベルも新しく採用したため、乗り越える壁が大きかったです。
容器の形状案を見た時は正直とても驚きました。
特殊な容器設計のため、キャップを閉める力といった製造条件の設定に苦労しました。
しかも、ラベルに熱をかける温度によっては容器が変形したり、ラベルがほとんど接着されなかったりと、トラブルが続出しました。
特殊仕様による制限が多く、正直大きなプレッシャーもありました。
しかし、各部署の方と連携し、仮説・検証を繰り返し、度重なる仕様変更を経て、ようやく安定生産できる資材と製造条件を設定することができました。テスト回数は、他製品と比較して1番多かったです。
「研究部門からのアイデアを、よい商品に創り上げる。」それが生産部の存在価値だと思います。
いわば研究部門からのこだわりのバトンを受け取る感じですね。

生産部 生産支援グループ

当たり前に受け流さない 生産現場で挑む楽しさがある

液剤の充填担当者として、入社して10年の経験があり、新しい資材であったとしてもあの設備を使えばできそう、ここを改造すればできそうといった想定はできます。
今回、特殊な形状のため容器自動供給の設備が使えず、手作業での供給が考えられていました。
しかし、人員確保が必要な手作業ではなく、何とか自動供給に切り替えられないかという心の引っかかりがありました。

生産部 充填グループ

この時、既存容器で培った経験を活かして自分で設備を改造できるかもしれないと思い、「やらせてください」と掛け合いました。
このように色々な検討を提案・実践した経験が今後の自信にもつながっています。
「なぜこの工程にしたのか、このルールは変えられるのか」と常に疑問を持ち、難しい壁であっても「できたら面白い」とワクワクした気持ちを大切にして現場に入ることを心がけています。

Chapter04新しいコンセプトのかゆみ止めが市場を揺るがす

初めに企画を聞いた時は、ハッとしました。そもそも耳などにお薬を勧めていいのかという驚きと同時に、新しい市場が広がるかもという期待がありました。そして、掻くことでしか対処のしようがなかったお客様に、新しい選択肢を提供したいという強い想いを持ちました。

市場開発室

見事にコンセプトが刺さった喜び。しかし・・・

広告に反応して売上が急激に拡大し、予想をはるかに超えた売れ行きになりました。広告を作る際は、どのようなメッセージを優先的に伝えるか、自分で考えてコミュニケーション戦略を練っていきます。自分たちで考えた広告にお客様が反応して興味をもち、買いたいと思ってくださったことは、素直に嬉しかったです。しかし・・・

ヒットして終わりではない。山積みの課題

ヒットしたとはいえ、まだまだ商品認知率は低く、もっと多くのお客様のお悩みに応えるためには商品を知ってもらう必要があります。また、安定した供給ができるような生産体制を整えたり、競合の参入に対してシェアを維持するための営業政策をとっていくなど、販売した後も課題は山積みです。これからも課題と向き合い、お客様に選ばれ続けるブランドへと成長させていきたいと考えています。

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